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笹幸恵
2020.9.15 14:02政治

井上武史氏のまっとうな指摘

今さらですが、日曜日の読売新聞。
総裁選に合わせ「識者に聞く」という記事で、
ゴー宣道場にもかつてゲストで来ていただいた
井上武史氏(現在は関西学院大教授)が
コメントを寄せていた。
安倍政権下での憲法論議について、与野党の動きを
冷静かつかなり抑制的に総括した上で、こう述べている。

「改憲が遠のくことは国民の声が
憲法に届かなくなることだ。
国民には憲法制定権力が委ねられており、
望ましい事態ではない。
 改憲を経ずに官僚などが『憲法解釈』の
変更で憲法の意味を変えてきた結果、
解釈で何でもできるという意識が広がり、
憲法の規範性が失われている」

まったく同感。
場当たり的な解釈の変更が、憲法そのものを
軽んじることにつながっていったのだ。
立憲主義とは真逆の方向だ。
「国民には憲法制定権力が委ねられている」
という一文にも、あらためてハッとさせられる。
教条主義的な護憲でも、変えさえすればいいという改憲でもなく、
お上任せの安易さにあぐらをかくことなく、
私たちこそが主体となって考えていかなくてはならないのだ。

井上氏は、憲法9条が立憲主義のアキレス腱だと
した上で、9条以外の論点なども提示している。

安倍政権の下の改憲は絶対反対、としていた人は
議論の土俵に上がるのだろうか。
何にしても、立憲主義のあるべき姿を追求して
いかなければ、まともな国家にはなり得ない。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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